ニュース

主催事業情報 2025/2/26 2025年1月11日開催「小中高校生のための公開リハーサル」の質問にお答えします!

子どものための公開リハーサル(1月11日)に来てくださり、ありがとうございました。

みなさんからの質問にお答えします!

 

【指揮者・ピアニストについて】  
・指揮者の方は本番直前にどんなことをおっしゃるのでしょうか。(高校生)  
→リハーサルでは、指揮者やソリストの音楽的な考えと、オーケストラ奏者の考え方の違いを直しながら公演に向かっていきます。  
最終の直前リハーサルは、それまでの確認を中心に公演を想定して進められます。 会場の響きがお客様の数によっても変わりますので、このことも想定して確認します。


・指揮者の方がピアノを弾いていましたが、よくあることなのですか? 初めて見ました。  
→指揮者の役目は時代と共に複雑になり、今では指揮者は音を出さない専門的な演奏者として重要になりました。  
しかし、ピアノやヴァイオリンなどの演奏家から指揮者になる人も多く、ソリストと指揮者を兼ねられる場合は、 楽器を弾くことと指揮棒を振ることから「弾き振り」 と言われる兼務をすることがあります。 大変に荷が重いのであまり多くはないです。


【オーケストラについて】  
・オーケストラにサックスはあまりいないんですか。 それはどうしてですか。(中学生)  
→古くはイタリア、そしてドイツを中心に200年以上の長い歴史を重ねたクラシック音楽の後、19世紀中頃にサックス (サクソフォーン) がフランスで生まれました。  
それで19世紀後半より後のクラシック音楽では、各国でサックスを組み込んだ作品が多くなりましたが、 やはりソロ (独奏) 楽器として参加することを前提とすることが多いです。  
20世紀のアメリカ吹奏楽などで、サックスを3~4種類揃えて、弦楽器のようにハーモニーを出すことが始まり、 それ以来、ジャズのビックバンドなどでは、 重要な楽器として取り扱われます。


・ヴァイオリンの人が弓で弦をたたくような動作をしていたのですが、どうやってきれいな音を出しているんですか。  
→よく気がつきました!ショパンの協奏曲第2番ではヴァイオリンが弓の木の部分で弦を打って演奏する col legno (コル・レーニョ= with wood)と言う奏法が出てきます。  
打楽器のような効果を生む珍しい奏法ですが、たたき方の強さを加減するなど、演奏を工夫することで、繊細な音を鳴らすこともできます。  
 

・楽団以外ではどんなお仕事をしていますか。(高校生)

  
→オーケストラの演奏を中心にしている団員がほとんどですが、 楽団の公演が休みの時などを利用して、少人数で組んでいる室内楽や独奏の演奏活動をしている人もいます。  
そのほか専門家を目指す生徒さんのレッスンをしたり、 大学、 中高生の部活動で講師として指導をしたりしている人も多いと思います。  
 

・響きのある演奏をするためにどのようなことを意識していますか。(中学生)  
→どの楽器の人も、自分がイメージする最高の音を持っています。 たとえ、作曲家や指揮者はこの曲でこういう音を出してほしいんだな、ということをよくわかった上でも、 その上でさらに常にその理想の響きを意識しながら演奏をしていると思います。  
 

・他の人や楽器とあわせて演奏するときに、 意識していることはなんですか。(中学生)  
→他の楽器や指揮者と、 自分がどのように違う部分があるかを考えながら演奏していると思います。  
演奏者同士、 意見が違う場合には話し合いなどしてコミュニケーションをとり、 音楽のイメージを合わせていくようにする事もあります。

 

・打楽器の位置が舞台に向かって左側ではなく右側にしたのはなぜか気になりました。 どのように決められたのか興味深く思いました。(大人)  
→とても良い質問ですね。 近代的な作品などのフルオーケストラ編成では、ティンパニを中心とする打楽器は、一段高いセンターで演奏する方が、 複雑な音楽の全体を把握しながら指揮者とコンタクトを取れるので都合が良いです。  
しかし今回のようなベートーヴェン、ショパンのように、 18~19世紀中期の音楽では、 まだティンパニの役目が全体に対して大きくないことと、 トランペットなどの近くで演奏した方がコンタクトを取りやすいことから位置を選びます。 トランペットが舞台左の場合には、ティンパニも合わせてそちらに行く場合も多いのです。  
特に音楽堂のような広くはない舞台では、工夫をしながら場所を考えます。


【練習について】  
・どのくらいの頻度で楽団として練習をしているのですか。 (中学生)  
→練習としてまとめてやるのではなく、公演のたびにリハーサルを行なっています。  
神奈川フィルでは、室内楽からフルオーケストラ編成まで、年間に200回以上の公演があります。  
 

・さまざまな演奏をされていると思いますが、曲の練習はどのくらいの期間練習をされるのですか。  
→演奏するジャンルは、オーケストラ音楽、 オペラ、バレエ、 映画音楽、ミュージカル、ゲーム音楽までとても広いので、ジャンルによって違いますが、 1~3日とする事が多いです。


・練習で一番大変なことはなんですか。  
→オーケストラとしては、公演のためのリハーサルの時間をきちんと取ることが大切です。  
もう一つは、皆でリハーサルをする前の、 それぞれの準備を演奏者がちゃんとできるように、早くから様々な作品の譜面を用意しておくことも、 オーケストラの「ライブラリアン」という役目の人が行なっている大変重要なことです。


・普段はどこの会場で練習していますか。(高校生)  
A : かながわアートホール (保土ヶ谷区)で行うことが多いのですが、 公演をするホールを練習会場として使うことができる場合もあります。


【公演について】  
・一つの演奏会に何名くらいの方が関わっていますか。(中学生)  
→オーケストラの団員は約70名います。 演奏会のサポートをしたり、 楽団の運営をしたりするスタッフも30名以上います。  
この演奏家とスタッフが、 演奏会ごとに協力をしながら1つの公演を作り上げていきます。


・公演中の水分補給はどうしていますか。(大人)  
→指揮者も演奏者も演奏中(公演中)に舞台で水分を取ることは通常はしません。  
お客様もホール内では飲食できないのと同じ考えですが、元々は、教会などクラシック音楽発祥の場所での行事などで行なっている習慣が現在まで生きていると思います。  
日常的に水分補給をしたり、暑い野外の中で水分補給を必要とする習慣とは、違う考え方です。  
 

・演目、奏者は誰が決めているのでしょうか。(大人)  
→自主演奏会の場合、 3年前から会場を予約することに始まり、 指揮者、 ゲスト演奏者などの決定と並行して演目などを決めていきますが、 音楽監督を中心としながら、 楽団スタッフが一緒に決定していきます。  
演目の予定や、 演目により必要な編成が決まり、各楽器のパートごとに演奏者も決まっていきます。

 

【音楽堂について】  
・どのくらいの回数の演奏会がありますか。(高校生)  
→音楽堂では「演奏会」「見学会」「ワークショップ」などのイベントが開かれます。  
過去1年間では194回のイベントがありました。リハーサルや舞台の準備などでホールを使うこともあり、 音楽堂は過去1年間で、 246 日使われていました。  
毎週の「休館日」 や、 お正月休み、 施設のメンテナンスをする「保守点検日」などを除いて一年中使用されています。


・神奈川県立音楽堂は今の法律では建てることができないと聞いています。 延命のために何かしていることがあれば教えてほしいです。 (高校生)  
→よく知っていますね!音楽堂は、 鉄筋コンクリートの建物が木造の音楽ホールを包みこむように造られており、 建物の芸術的なデザインと、木のホールならではの美しい響きを生み出しています。  
今後も音楽堂を守り続けていくために、日々細かい検査と修繕を行っています。  
過去に、1年以上、 音楽堂はお休みをして古くなった空調、 電気の設備の入れ替え、柱や壁の修繕をしました。  
県が 「壊して建て直そう」 と計画したことがありましたが、 音楽界や建築界の人たちが大反対して何万人もの署名を集め、改修して保存しよう、となりました。  
そして2021年、 音楽堂は県の重要文化財に指定され、 壊される心配はなくなりました。  
このように、多くの人がよさを理解し、 愛し、 守ろうとする存在であり続けることが大切なのです。


・開館から今まででインパクトのある公演ベスト3を教えてください。(中学生)  
→昨年で音楽堂は70歳。 70年の間に、1万回以上の公演を見てきています。 その中の 「3回」 を選ぶのは難しいですが、 あげてみます。  
① 音楽堂初の「オペラ」の公演。  
1954年12月5日、 近衛秀麿という有名な指揮者 (今のNHK交響楽団のもととなるオーケストラを創った人です)の指揮による、 モーツァルト 『コシ・ファン・トゥッテ』。  
第二次大戦後、横浜では30年ぶりのオペラ公演で、のちの日本のオペラ界をささえる人たちがたくさん参加し、 大きく新聞でも取り上げられました。 音楽堂の舞台はそれほど大きくないのですが、 音楽堂に合った「室内オペラ」といわれるジャンルのものは、今も音楽堂でシリーズ化されています。  
 

② 1954年から毎年クリスマス音楽会として50回以上も続く 「ヘンデル『メサイア』 全曲」 演奏会。  
「ハレルヤコーラス」で有名な、キリストの誕生から復活までを描いた音楽物語 (オラトリオ)です。

 オーケストラ (神奈川フィル)、ソリスト、そして高校生から90歳くらいまで、100人以上の神奈川県民による合唱が大迫力のコンサートです。 

今年は12月7日にやりますので、是非聴きに来てください。


③最後に変わったエピソード。

ある時、ヨーロッパの名門アンサンブルの演奏中に停電が起こり、公演が中断してしまいました。  
しかしお客様も演奏家も「せっかくのコンサートだから」と帰らず、真っ暗な中、舞台スタッフが舞台の両側から懐中電灯で舞台を照らして公演を続けた・・・という伝説が残っています。  
音楽堂の開館以来70年間の公演の記録は、 音楽堂ウェブサイトの「イベントをさがす」のメニューで、キーワードや年月日を入れれば検索できます。  
ぜひ、 好きなアーティスト名や日付を入れて、 検索してみてください!


・建物のメンテナンスで気をつけていることはありますか。(大人)

→音楽堂は2021年に、県の重要文化財となり、 建物のデザインやイメージを傷つけないよう、 前川建築設計事務所に相談したり、 県に許可を得たやり方で修理したり改善したりしています。  
例えば、ホールのカベや舞台の傷んでいるところは、傷んだところだけを切り取って、パズルのように新しいパーツを入れ、ニスを塗り直すなど、 お寺や仏像のような文化財修復の技法を使って修理しています。  
古い建物なので小さな不具合は日々出てきます。 そのたびに「これは今すぐ直すものか、時間をかけて修繕計画を立てるべきか」 決めています。  
音楽堂を利用する方々に 「壁や木材を使った箇所などに貼り紙をしない」 「ドアやガラス窓をていねいに扱う」 ことなどお願いをして、みなさんの協力で音楽堂を守っています。

 


たくさんの質問をありがとうございました。  
子どものための公開リハーサルは、来年度も行う予定です。  
決まり次第ホームページでお知らせします。おたのしみに!  
 

  • ご支援のお願いウェブサイトへ
  • チケットかながわウェブサイトへ
  • 神奈川芸術プレス WEB版ウェブサイトへ
  • 共生共創事業ウェブサイトへ
  • マグネット・カルチャーウェブサイトへ