アンドラーシュ・シフ (c) Nadia F Romanini

音楽堂ヴィルトゥオーゾ・シリーズ18

アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル
Andras Schiff Piano Recital "The Last Sonatas"

ウィーン古典派4人の巨匠たちの最後のソナタ集

  • 日時 2017/3/19(日) 15:00 開演 (14:30 開場)
  • 会場 ホール
  • KAme
    先行
    2016/9/24(土) 予定枚数終了
  • 一般発売 2016/10/8(土) 予定枚数終了
  • お問い
    合わせ
    神奈川県立音楽堂業務課 045-263-2567(9:00~17:00 月曜休館)

※本公演は、演奏者本人の強い希望により、曲順を変更して演奏いたします。何とぞご了承を賜りますようお願い申し上げます。

※なお、当日券の販売はございません。ご了承ください。

チラシデータ(PDF)


晩年の作を通して、作曲家たちの生のエッセンスを聴く
  中村孝義(大阪音楽大学名誉教授、音楽学・音楽評論)

  

 処女作というものは、往々にしてその作者(作曲家)の本質的なものを、原初的な形であれ明らかにしていることが少なくない。「三つ子の魂百までも」とはよく言ったもので、確かに人間の一生は、少し極端化していえば、その出発点でほぼ決まってしまっているのである。それに対して、その生も終わり近くになってものされた晩年の作や遺作にはどのような意味があるのだろう。人間というものは、重篤な病に冒され、死期が完全に認識できる場合を除いて、自分がいつ生を終えるかは基本的には分からない。その意味では、最後の作品といえども、それがその作者の遺書的なもの、あるいは最終結論などということは、簡単にはいえない。

 ただ不思議なことだが、どの作曲家においても、晩年の作品には、どこかただならぬ雰囲気が漂っていることが少なくない。もちろんそれは、ある人は諦念であったり、あるいは悟りであったり、はたまた生への執着であったりと、作曲家によって様々に異なりはするが、何かその人にとって決定的なものが如実に現れてくる。我々はそうしたものに接したとき、自ずとその作曲家が生きてきた生全体が凝縮されたものを聴いた思いにとらわれる。作曲家がそれを必ずしも意識して作曲したのではないにしても、聴き手には、そこに作曲家がどのように人生を送ってきたかのエッセンスを感じてしまうのだ。その意味で作曲家の晩年の諸作を聴くのは、やはり特別な経験といわねばならない。

 今回、今や円熟のまっただ中にあり、一期一会の深い音楽を奏で続けるシフが用意したプログラムは、神奈川県立音楽堂と彩の国さいたま芸術劇場の両館で、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトのピアノのための最後の作品と、最後から二つ目の作品を2日にわたって聴こうというもの。我々はこの2日にわたる演奏会を通じて、果たして作曲家のどのような人生最終盤のメッセージを、またシフのそれに賭ける思いを聴き取ることになるのだろう。この2日が他に類をみない特別な経験をする日になることはおそらく間違いないだろう。音楽を通じて、何か特別な経験をしたいと望んでいる人は、この機会を逃してはならない。きっと多くの示唆や福音が待ち受けていることだろう。

 

◆彩の国さいたま芸術劇場公演の詳細はこちら
※このサイトから離れます。

◆関連講座があります。
「最後のピアノ・ソナタを聴く」
3月18日(土)14時 神奈川県立図書館4階セミナールーム
講師:青澤隆明(音楽評論)
詳しくは、こちら。

 


※出演者、曲目はやむを得ず変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

アンドラーシュ・シフ(ピアノ) Andras Schiff ,piano<謹告> 「アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル」についてのお知らせ  「アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル」(3月19日(日)15時 神奈川県立音楽堂)演奏者本人の強い希望により、演奏曲順を変更して公演を行うことになりました。   曲順(変更前)    ハイドン:ピアノ・ソナタ 変ホ長調 Hob. XVI: 52   ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 op.111                 ***   モーツァルト:ピアノ・ソナタ第18(17)番 ニ長調 KV576   シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960                      ↓  曲順(変更後)     モーツァルト:ピアノ・ソナタ第18(17)番 ニ長調 KV576   シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960                ***   ハイドン:ピアノ・ソナタ 変ホ長調 Hob. XVI: 52   ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 op.111  開演後のご入場は、購入されましたお席へのご案内が難しい場合がございます。お時間には余裕を持ってご来場くださいますよう、重ねてお願い申し上げます。 アンドラーシュ・シフ (ピアノ) Andras Schiff ,Piano  1953年、ハンガリーのブダペスト生まれ。5歳からエリザベス・ヴァダスの下でピアノを始め、その後フランツ・リスト音楽院でパール・カドシャ、ジェルジ・クルターク、フェレンツ・ラードシュらに学び、さらにロンドンでジョージ・マルコムに師事した。  シフの活動の大半はJ. S. バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、シューマン、バルトークなどの主要な鍵盤作品によるリサイタルや全曲演奏会である。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲によるリサイタルは2004年から行っており、今では20都市にのぼる。チューリヒ・トーンハレでの行われた今プログラムはライヴ・レコーディングされている。  ECMレーベルでのシューマン「主題と変奏変ホ長調(作品番号なし)」の録音で、2012年のICMA(国際クラシック音楽賞)の器楽部門のレコーディング・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。  世界の一流オーケストラや指揮者のほとんどと共演してきたが、近年はピアノを弾きながら自らオーケストラを指揮する弾き振りの活動をメインにしている。1999年には自身の室内楽オーケストラ、カペラ・アンドレア・バルカを創設、メンバーには国際的なソリストや室内楽奏者、友人たちが加わっている。このほかに毎年ヨーロッパ室内管弦楽団も弾き振りしている。  子供の頃から室内楽に親しみ、1989年から1998年まで、ザルツブルク近郊の、国際的にも評価の高いモントゼー音楽週間の芸術監督を務めた。また1995年にハインツ・ホリガーとともに、スイスのカルタウス・イッティンゲンでイッティンガー聖霊降臨祭音楽祭を創設。1998年にも「パラディオへのオマージュ」と名づけた同様のシリーズをヴィチェンツァのテアトロ・オリンピコでスタートさせた。  受賞歴も数多く、最近では国際モーツァルテウム財団よりゴールデン・モーツァルト・メダルを授与されている。2006年には、ベートーヴェン作品の解釈における業績が評価され、ボンのベートーヴェン・ハウスの名誉会員に選ばれた。2008年にはウィグモア・ホールでの30年にわたる音楽活動が評価され、ウィグモア・ホール・メダルが授与された。2011年にはツヴィッカウ市よりシューマン賞を受賞。2012年6月にはプール・ル・メリット勲章を受章。2012年にはウィーン・コンツェルトハウスの名誉会員に選ばれた。  2006年からは、へンレ社と共同でモーツァルトのピアノ協奏曲の楽譜校訂に関する重要なプロジェクトに着手している。このプロジェクトでは今後数年の間に、シフが校訂したオーケストラ部分にあたるピアノ伴奏譜、運指のほか、モーツァルト自身がカデンツァを残していない作品に対してシフが作った新しいカデンツァを加えた原典版の演奏譜が順次刊行される予定である。さらに2007年には、シフの運指によるバッハの「平均律クラヴィーア曲集」全2巻がヘンレ原典版として刊行されている。  ブダペスト、デトモルト、ミュンヘンの各音楽大学の名誉教授の称号を持ち、またイギリス・オックスフォードのバリオル・カレッジの特別研究員にも選出されている。  2011年の春、シフは近年のハンガリー政府のメディア法に反対を表明して注目を集め、ハンガリーのナショナリストたちから相次いで攻撃を受けたことから、今後、祖国では演奏を行わないと表明した。 (2013年9月)

チケット

当日券
当日券の販売はございません。
ご了承ください。
チケット発売日

KAme先行(かながわメンバーズWEB先行販売): 2016/9/24(土) ~2016/10/8(土)

かながわメンバーズ入会はこちら

一般:2016/10/8(土)

チケット料金
全席指定 一般:8,000円<売り切れ> シルバー(65歳以上):7,500円<売り切れ> 学生(24歳以下)4,000円<売り切れ> ★ヴィルトゥオーゾ・シリーズ3公演セット券は、予定枚数に達したため、取扱いを終了いたしました。
主催 神奈川県立音楽堂[公益財団法人神奈川芸術文化財団]

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