音楽堂ヴィルトゥオーゾ・シリーズ17
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)&ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)&アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)
Isabelle Faust(violin),Jean-Guihen Queyras(cello),Alexander Melnikov (piano)
- 日時 2017/2/26(日) 14:00 開演 (13:30 開場)
- 会場 ホール
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KAme
先行 2016/9/10(土) 予定枚数終了 - 一般発売 2016/9/17(土) 予定枚数終了
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お問い
合わせ 神奈川県立音楽堂業務課 045-263-2567(9:00~17:00 月曜休館)
★当日券は、26日(日)13時より正面入口にて販売いたします。
<全席指定>一般:7,000円 学生(24歳以下)4,000円
中村 孝義(大阪音楽大学名誉教授、音楽学・音楽評論)
室内楽の中で、ピアノ三重奏というのはちょっとした変わり種だ。弦楽四重奏のように、ひたすら凝縮した世界を志向するでもなく、異種楽器によるデュオのように、対話や拮抗を経てより高次の世界へと止揚されることを目指すのでもなく、室内楽が理想とする世界へのアプローチを一端諦めたところに成立しているように見えなくもないからだ。ヴァイオリンとチェロは同族だが明らかに異なった個性を持ち、その中に、それらとは全く異なるピアノが割ってはいる編成。これらがうまく融和して一つの調和ある世界が作れるのか。そんな疑問を起こさせずにはおかないのがピアノ三重奏という編成なのである。
しかしこうした難儀なことに敢えて挑戦し、新たな次元の世界を創りだそうというグループが現れてきた。ヴァイオリンのファウスト、チェロのケラス、ピアノのメルニコフという3人によるピアノ三重奏団である。3人がそれぞれ当代一流のソリストとして活躍しているのはご承知の通り。これがなかなかに面白い。ファウストもケラスも、メルニコフとのデュオや、別の奏者たちとではあるが弦楽四重奏を演奏した経験を持つだけに、室内楽やデュオの要諦を確実につかんでいることが一つ。加えて彼らが、決して小さく纏まってしまわない大きな世界と音楽性を持つソリストであるため、音の世界が、空間が、ひいては音楽そのものの意味が限りなく広がっていくような凄みを持っているのだ。
最近彼らがプロジェクトを組んで録音したシューマンのピアノ三重奏曲全曲など、1+1+1が単に3に落ち着くのではなく、1に収斂されることもあれば、各自の存在感を保ちつつ、4にも5にも、時には10までにも世界が大きく拡大される。こんなトリオは、これまでカザルス・トリオなどほんの数例しか存在しなかった。彼らはそれに、現代ならではの鮮烈さとピリオド楽器による雅味まで加えているのだから驚く他はない。我々は今まさに歴史的な存在の成長に向き合っている。シューベルト、シューマンのかけがえのない傑作や、2012年に亡くなったカーター最後の同時代作品を通して、このトリオの持ち味をしっかりと確かめられる機会はまたとない。これを聴かずして、今後ピアノ三重奏の世界を語るのは不可能となるだろう。聴くならまさに今を措いて他にはない。
◆ジャン=ギアン・ケラスから音楽堂公演へ向けてインタビューが届きました!
◆神奈川芸術プレスにイザベル・ファウストのインタビューが掲載されています!
ぜひご覧ください。
http://www.artspress.jp/posts/1201135?categoryIds=93421
◆関連講座があります。
「室内楽の楽しみ~ピアノ・トリオを中心に」
2月25日(土)14時 神奈川県立図書館4階セミナールーム
講師:中村孝義(大阪音楽大学名誉教授・音楽評論)
詳しくは、こちら。
※出演者、曲目はやむを得ず変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン) Isabelle Faust(violin) ジャン=ギアン・ケラス(チェロ) Jean-Guihen Queyras(cello) アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ) Alexander Melnikov (piano)シューマン:ピアノ三重奏曲 第3番 ト短調 作品110 エリオット・カーター:エピグラム(2012) シューベルト:ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 作品99D898 R.Schuman:Piano Trio No.3 op.110 Elliott Carter:Epigrams for Piano, Violin, and Cello (2012) F.Schubert:Piano Trio No.1 op.99 D.898 *上記曲目に変更となりました(2016.04.29)。イザベル・ファウスト(ヴァイオリン) Isabelle Faust, Violin イザベル・ファウストは、近年ヨーロッパで活躍の目覚しい音楽家の1人で、その並外れたテクニックと洗練された音楽性で、聴衆および専門家の間でも非常に高い評価を獲得している。 クリストフ・ポッペンとデネス・ジグモンディの両氏に師事。1987年アウグスブルクの「レオポルド・モーツァルト・コンクール」、1993年「パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクール」に優勝し、一躍世界的に注目される。 これまでに、ベルリン・フィル、ロンドン・フィル、ミュンヘン・フィル、バーミンガム市響、パリ管、ボストン響、バイエルン放響、ベルリン放響、シュトゥットガルト放響、ケルン放響、ライプツィヒ放響、ハンブルク・フィル、チェコ・フィル、BBC響、マーラー室内管、ドイツ・カンマーフィル・ブレーメン、シュトゥットガルト室内管、カメラータ・アカデミア・ザルツブルク、ミュンヘン室内管、NHK響、都響、新日本フィル、日本センチュリー響などと共演。指揮者ではメニューイン、ヤンソンス、ハイティンク、ブリュッヘン、ギーレン、ベルティーニ、ホリガー、ビエロフラーヴェク、ハーディング、ヤノフスキ、オラモ、ベルグルント、スダーン、アントニーニなどと共演。クラウディオ・アバドとは緊密で芸術的価値の高い関係を築き、2012年のアバド指揮ルツェルン祝祭管、ベルリン・フィルなど、世界各国で幾度も共演した。ハルモニア・ムンディよりリリースした、アバド指揮モーツァルト管弦楽団とのベートーヴェンとアルバン・ベルクのヴァイオリン協奏曲は、ディアパソン・ドール賞、エコー・クラシック賞、2012年グラモフォン賞、レコード・アカデミー大賞等、数多くの賞を受賞し、世界中で高い評価を得ている。 特筆すべきは、古楽器からモダンまであらゆるスタイルと様々な時代のレパートリーを網羅していることである。古楽器演奏では、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲をデイヴィッド・スターン指揮で古楽器アンサンブル「コンチェルト・ケルン」と共演する一方、フェルドマン、リゲティ、メシアンなどによる前衛的作品も見事に弾きこなす腕前を持っている。2001年、ヤノフスキ指揮ミュンヘン・フィルとエックのヴァイオリン協奏曲を、2004年にはマルコ・レトニア指揮ミュンヘン響とジョリヴェのヴァイオリン協奏曲のドイツ初演を、さらに、ヴィットマンやラース・グラウゴーの作品の世界初演も行った。2009年には、トーマス・ラッヒャーとミシェル・ジャレルの新作を初演した。 室内楽演奏家としても、数々の音楽祭に定期的に出演し、フローラン・ボファード、ラルス・フォークト、アンドレアス・シュタイナー、アレクサンドル・メルニコフ、クリスチャン・テツラフ、ジョゼフ・シルバースタイン、ブルーノ・ジュランナ、トーマス・リーブル、タベア・ツィンマーマン、ボリス・ペルガメンシコフ、スティーヴン・イッサーリス、クレメンス・ハーゲンなどと共演している。 CDはハルモニア・ムンディより、バッハ:無伴奏ソナタ&パルティータ、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ)、ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(ダニエル・ハーディング指揮マーラー室内管)、バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番(ダニエル・ハーディング指揮スウェーデン放響)、シューマン:ヴァイオリン協奏曲&ピアノ三重奏曲第3番(パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロック・オーケストラ、チェロ:ジャン=ギアン・ケラス、ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ)など多数リリース。数多くの賞を受賞している。 使用楽器は、ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」(1704年製)。 ジャン=ギアン・ケラス(チェロ) Jean-Guihen Queyras, Cello 1967年モントリオール生まれ。リヨン国立高等音楽院、フライブルク音楽大学、ジュリアード音楽院でチェロを学ぶ。 レパートリーはバロックから現代まで多岐にわたり、ウィーン楽友協会、コンセルトヘボウ、シャンゼリゼ劇場、ウィグモアホール、カーネギーホール等、欧米の権威あるコンサートホールの多くでリサイタルを行っている。また、フィルハーモニア管、パリ管、チューリッヒ・トーンハレ管、スイス・ロマンド管、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、BBC響、フィラデルフィア管、N響、読響、東響を始めとするオーケストラと共演。優れた室内楽奏者としても知られ、2002年にA.ヴァイトハース(Vn)、D.ゼペック(Vn)、T.ツィンマーマン(Vla)とアルカント・カルテットを結成し、定期的に演奏活動を行っている。 これまでに、ハイドン、ドヴォルザーク、ヴィヴァルディ、エルガーのチェロ協奏曲、シューベルト「アルペジオーネ・ソナタ」、バッハ「無伴奏チェロ組曲」、ドビュッシー&プーランク作品集、A.メルニコフ(Pf)とのベートーヴェン「チェロとピアノのための作品全集」、I.ファウスト(Vn)およびA.メルニコフ(Pf)のベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第6番、第7番」等のCDをリリース(ハルモニア・ムンディ/キングインターナショナル)、数々の賞を受賞している。 演奏楽器は1696年ジョフレド・カッパ製(メセナ・ミュジカル・ソシエテ・ジェネラルより貸与)。 2002年グレン・グールド国際プロテジェ賞受賞。ドイツ・フライブルク音楽大学教授。 アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ) Alexander Melnikov (Piano) モスクワ音楽院でレフ・ナウモフキ教授に師事し卒業。モスクワでのメルニコフの音楽形成上最も影響を与えた瞬間には、スビャトスラフ・リヒテルとの早期の出会いが含まれる。リヒテルは、その後ロシアとフランスのフェスティバルに定期的にメルニコフを招いた。メルニコフは、ツヴィカウのロベルト・シューマン国際コンクール(1989年)、ブリュッセルのエリザベート王妃国際音楽コンクール(1991年)を含む有名コンクールの受賞者である。 メルニコフのプログラミングはしばしば独特だと言われる。メルニコフは、ピアニスト人生を通して持ち続けている歴史的な演奏慣行への興味を、幼い頃に発見した。この分野において彼に影響を与えたのは、数多くのプロジェクトを共にしたアンドレアス・シュタイアーとアレクセイ・リュビモフである。メルニコフは、コンチェルト・ケルン、ベルリン古楽アカデミー等の優れたアンサンブルと定期的に共演している。 メルニコフはアンドレアス・シュタイアーと共に、バッハの平均律クラヴィーア(アンドレアス・シュタイアー:ハープシコード)の抜粋を、ショスタコーヴィチの24の前奏曲とフーガ(アレクサンドル・メルニコフ:ピアノ)との音楽的対話に置くプログラムを考え出した。室内楽のパートナーとしてしばしば組む演奏家には、チェロのアレクサンドル・ルディン、ジャン=ギエン・ケラスがおり、バリトンのゲオルク・ニグルもまたメルニコフの仕事の不可欠な一員である。 メルニコフのハルモニア・ムンディ・レーベルとのかかわりは、常連のリサイタル・パートナーであるヴァイオリニスト、イザベル・ファウストを通して生まれた。2010年、ふたりのベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ全曲録音は、グラモフォン賞とドイツのエコー・クラシック賞に輝いた。この曲の録音の試金石となったこのCDは、グラミー賞にもノミネートされた。ファウストとの最新のCDであるウェーバーの室内楽曲集は、2013年1月にリリースされた。 メルニコフのショスタコーヴィチの前奏曲とフーガ全曲録音は、BBCミュージック・マガジン賞、ショク・ド・クラシカ、ドイツレコード批評家賞の年間賞を受賞した。2011年には、同録音はBBCミュージック・マガジンの「史上最高のCD50選」に選ばれた。加えてメルニコフのディスコグラフィにはブラームス、ラフマニノフ、スクリャービンが含まれ、テオドール・クルレンツィス指揮マーラー室内管弦楽団共演のショスタコーヴィチのピアノ協奏曲集は、高い評価を受けた。 ソリストとしてこれまでに共演したオーケストラは、ロイヤル・コンセルへボウ管弦楽団、ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団、北ドイツ放送交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、ロシア・ナショナル管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、BBCフィルハーモニック、NHK交響楽団があり、指揮者ではミハイル・プレトニョフ、テオドール・クルレンツィス、シャルル・デュトワ、パーヴォ・ヤルヴィ、ワレリー・ゲルギエフらがいる。チケット
当日券 |
13時より正面入口にて販売いたします。 <全席指定>一般:7,000円 学生(24歳以下)4,000円
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チケット発売日 |
KAme先行(かながわメンバーズWEB先行販売): 2016/9/10(土) ~ かながわメンバーズ入会はこちら一般:2016/9/17(土) |
チケット料金 |
全席指定 一般:7,000円 シルバー(65歳以上):6,500円<売切> 学生(24歳以下)4,000円
*この他、各プレイガイドでも発売中。
チケットぴあ
http://t.pia.jp/(Pコード:296-314)/0570-02-9999(24時間・音声自動応答)
イープラス
http://l-tike.com/
ローソン
http://l-tike.com/(Lコード:34790)
★ヴィルトゥオーゾ・シリーズ3公演セット券は、予定枚数に達したため、取扱いを終了いたしました。
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主催 | 神奈川県立音楽堂[公益財団法人神奈川芸術文化財団] |
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