ファビオ・ビオンディ

神奈川県立音楽堂 開館60周年記念特別企画!

音楽堂バロック・オペラ ヴィヴァルディ 「メッセニアの神託」全3幕

ファビオ・ビオンディによるウィーン版(1742年)の再構成版 【日本初演】

  • 日時 2015/2/28(土)~2015/3/1(日) 15:00 開演 (14:00 開場)
  • 会場 ホール
  • KAme
    先行
    2014/9/30(火)
  • 一般発売 2014/10/14(火)
  • お問い
    合わせ
    神奈川県立音楽堂業務課 045-263-2567(9:00~17:00 月曜休館)

      ※両日ともに14:15 ~ビオンディによるプレトークを予定
      
上演時間は約3時間半(休憩2回を含む)の予定です


◆◆特設サイト http://www.kanagawa-ongakudo.com/messenia/ ◆◆

 

21世紀のヨコハマに蘇る、ヴィヴァルディの幻のオペラ

                             那須田務(音楽評論)

 ファビオ・ビオンディとエウローパ・ガランテが2006年に音楽堂で本邦初演した《バヤゼット》は、私たちにヴィヴァルディのオペラの醍醐味を教えてくれた。そのビオンディが、再びやってくる。1738年(異説あり)にヴェネツィアで初演されたパスティッチョ・オペラ《メッセニアの神託》を携えて。ヴィヴァルディがウィーンでの再演を願いつつも、数奇な運命に翻弄され、貧困のうちに客死、その数か月後にケルントナートーア劇場で上演されたというエピソードがある。パスティッチョとは自作他作の楽曲を寄せ集めた作品のこと。本作はジャコメッリの《メローペ》を下地に、ジャコメッリやヴィヴァルディらの曲で構成される、王国乗っ取りの謀略と敵討ちと愛の人間ドラマである。楽譜が失われているので「幻のオペラ」とされてきたが、ビオンディは台本をもとに見事に復元してみせた。2年前、ウィーンでのビオンディ再構成版上演以来、何度か上演されてきたが、今回は演出付きとしては「世界初」になるという。

演出は、カウンターテナー歌手で演出家の彌勒忠史。これまで数々のバロック・オペラの演出で、時空を超えた驚きの舞台を生み出してきた。彌勒さんいわく、「『メッセニア』は当時のヒット曲がちりばめられた最高のエンターテインメント」。欧州の一流歌手たちによるアリアも聴き逃せない。ヴィヴァルディの幻のオペラが、ビオンディや彌勒らによって21世紀のヨコハマに蘇る。末永く語り継がれる、歴史的な公演となることだろう。

 

<ものがたり>

【第1幕】

メローペが反逆者ポリフォンテと婚約してからちょうど10年後。成長したエピーティデは、父の王国を奪還するため、「クレオン」という偽名でメッセニアへ帰還。おりしも、メッセニアのヘラクレス神殿では、王国を恐怖に陥れてきたイノシシからの救いを求め、人々が祈っている。神殿から出てきたポリフォンテは、トラシメーデに神託を読み上げさせる。「メッセニアは二匹の怪物から解放されるであろう。勇敢な行為と怒りにより、その怪物は殺されるであろう。そしてその勝者は王家の血を引く捕われ人と結婚するであろう」。

ポリフォンテはエトリアに逃れたエピーティデと交換しようと、王女エルミーラを誘拐し人質としていた。エルミーラを取り戻したいリチスコは、ポリフォンテに、エピーティデはすでに死んだと告げる。

ポリフォンテは「神々は、もし見知らぬ者がイノシシを仕留めたら、その者にお前を与えると約束した」とエルミーラに告げる。しかし彼女はエピーティデが忘れられない。

メローペは、前王に反逆した真犯人を突き止めようと、トラシメーデにアナッサンドロを追跡させ、またポリフォンテとの結婚に呪いがふりかかるよう祈る。一方ポリフォンテはアナッサンドロを隠れ家から呼び出し、メローペを反逆者として告発するよう指示。

そんな中、「クレオン」を名乗るエピーティデはイノシシとの戦いへと出発する。

【第2幕】

イノシシをみごと仕留めて帰還した「クレオン」は、メローペの右手にキスをし、死に瀕したエピーティデからそうするように言われた、と伝える。しかしメローペはその話を疑い、息子を殺したのはお前だと非難する。

ポリフォンテがイノシシ討伐の褒美とした花嫁が、実は最愛のエルミーラだと知ったエピーティデは歓喜し、エルミーラもエピーティデ死亡説が謀略だと知る。二人は再会するが、エピーティデの正体を隠し続けようと申し合わせる。

メローペの尋問を受けたアナッサンドロが、虐殺を命じた真犯人を公けの裁判で明らかにすると言うので、メッセニアの人々が召集される。しかしアナッサンドロは、メローペが殺人を扇動したと告発したため、逆にメローペが窮地に立たされる。一方、アナッサンドロから「クレオン」がエピーティデに違いないと聞いたポリフォンテは激怒。

【第3幕】

ポリフォンテは「クレオン」の正体をエルミーラに伝え、「殺人犯」メローペがエピーティデを殺さないよう、このことを彼女には言うなと口止めする一方、アナッサンドロの口を封じようと彼の処刑を命じる。主人に裏切られたと知ったアナッサンドロは、真実をリチスコに明かす。リチスコはアナッサンドロを解放、秘密裏に宮殿へと連れて行く。

メローペはポリフォンテから、「クレオン」こそエピーティデを殺した犯人、という手紙を受け取る。復讐心を掻き立てられたメローペは、「クレオン」を殺すようトラシメーデに命じる。「クレオン」は、メローペの部屋に呼ばれ、もうすぐお前は殺されるだろうと脅される。彼は「我こそがあなたの実の息子」と言っても信じてもらえず、そばにいたエルミーラも恋人の秘密を守ろうと知らぬふりをするので、絶望し、部屋を出ていく。しかし、残されたメローペはエルミーラと話すうち真実に気づく。そこに入ってきたポリフォンテに、エピーティデの命乞いをするが、聞き入れられず、メローペは自分も死ぬ運命と知り、絶望する。

オペラの最後、舞台の一部はカーテンで仕切られている。ポリフォンテはメローペに、このカーテンの裏にはエピーティデの遺体があり、お前もその遺体に鎖で繋がれて死ぬのだと告げる。ポリフォンテが勝ち誇ったようにカーテンを引くと、そこにいたのは生きているエピーティデだった。アナッサンドロからエピーティデ殺害の企てを知らされたリチスコが、トラシメーデを止めたのだった。

こうして王権を奪回したエピーティデはポリフォンテを処刑し、アナッサンドロを国外へ追放。そして、母親と花嫁と共に、神託の成就を祝うのだった。

音楽監督・ヴァイオリン:ファビオ・ビオンディ 演出:彌勒 忠史 出演:マグヌス・スタヴラン(テノール)、マリアンヌ・キーランド、ヴィヴィカ・ジュノー、    マリーナ・デ・リソ、ユリア・レージネヴァ、フランツィスカ・ゴッドヴァルト、マルティナ・べッリ     (以上メゾゾプラノ)     ※当初予定のクサヴィエール・サバタはマルティナ・ベッリに変更になりました。 演奏:エウローパ・ガランテ スタッフ:松岡泉(美術)、萩野緑(衣装)、稲葉直人(照明)、篠田薫(ヘア・メイク)、家田淳(演出助手)       幸泉浩司(舞台監督)、船引悦雄(プロダクション・マネージャー)「メッセニアの神託」全3幕 イタリア語上演/字幕付◆ファビオ・ビオンディ  Fabio Biondi  (音楽監督・指揮・ヴァイオリン)  イタリアのパレルモ出身。12歳でイタリア国立放送交響楽団(RAI)とソリストとして共演し、国際的キャリアをスタートさせた。  1990年、イタリアのバロック音楽アンサンブル、「エウローパ・ガランテ」を結成し活動を始める。さまざまな音楽祭、ミラノ・スカラ座、ローマのサンタ・チェチリーリア管弦楽団、アムステルダム・コンセルトヘボウ、ロイヤル・アルバート・ホール、ウィーン・ムジークフェライン、ニューヨークのリンカーンセンター、シドニーのオペラハウス、東京のサントリーホールなどに招待されている。  ソリスト、指揮者としては、サンタ・チェチリーリア管弦楽団、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団、ハレ歌劇場管弦楽団、ノルウェー室内管弦楽団、モンペリエ国立交響楽団、マーラー室内管弦楽団など数多くのオーケストラと共演している。  2005年よりノルウェー・スタヴァンゲル交響楽団のバロック音楽のための芸術監督、2011年よりサンタチェチーリア音楽院の学芸員。 ◆エウローパ・ガランテ  Europa Galante  1990年、音楽監督であるファビオ・ビオンディによって設立された古楽アンサンブル。パルマのドゥーエ劇場を活動拠点とし、バロック、古典の時代に作曲された作品を当時の楽器で演奏する。バロックの器楽曲だけに限らず、ヴィヴァルディの『バヤゼット』『テルモドンテ川のエルコレ(ヘラクレス)』『メッセニアの神託』のほかヘンデルの『アグリッピーナ』『イメネオ』といったバロック・オペラ、オラトリオと、声楽を含む作品もレパートリーとしている。さらに、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院と共同で、アントニオ・カルダーラの『キリストの受難』、レオナルド・レーオの『カルヴァリオの丘の聖エレナ』のような前18世紀のイタリア・オペラの再発掘や復元に尽力している。  CDのリリースも多く、ヴィヴァルディ『メッセニアの神託』の盤も含め数多くの賞に輝いている。そしてミラノ・スカラ座、サンタ・チェチーリア音楽院といったイタリア国内だけでなく、ヨーロッパ、オーストラリア、日本、カナダ、イスラエル、アメリカそして南アフリカまで招かれ、世界中の一流ホールで演奏している。 ◆彌勒忠史  Tadashi Miroku  (演出) 千葉大学卒業。同学大学院修了。東京藝術大学声楽科卒業。国内外のオペラ・コンサート、「題名のない音楽会」などをはじめとするTV・ラジオ番組に出演。CD「B.ストロッツィのカンタータ集」(Tactus/「レコード芸術」2011年ヘヴィ・ローテーション盤)、「音楽の友」2011年ベスト・コンサート第1位のユニットによる「No early music, No life?」(OMF/朝日新聞推薦盤)など、著作『イタリア貴族養成講座』(集英社)など。NHK「テレビでイタリア語」「ぶらあぼ」「教育音楽」にて記事を連載。イタリア国立G.フレスコバルディ音楽院講師、東京藝術大学音楽学部声楽科教育研究助手を経て、現在、放送大学、学習院生涯学習センター非常勤講師。在日本フェッラーラ・ルネサンス文化大使。日本演奏連盟、二期会会員。平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣新人賞(音楽部門)を受賞。

チケット

当日券
13:45より音楽堂正面で販売。
全席指定 S席12,000円、A席11,000円、学生席(24歳以下)8,000円
なお、学生席は若干枚数のご用意となっております。
チケット発売日

KAme先行(かながわメンバーズWEB先行販売): 2014/9/30(火) ~

かながわメンバーズ入会はこちら

一般:2014/10/14(火)

チケット料金
全席指定 S席12,000円、A席11,000円、B席10,000円、学生席(24歳以下)8,000円 学生席は、チケットかながわのみで取り扱います。枚数に限りがあります。 ※B席は売り切れました。
主催 神奈川県立音楽堂[公益財団法人神奈川芸術文化財団]
助成
平成26年度 文化庁 劇場・音楽堂等活性化事業
(一財)地域創造

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