イザベル・ファウスト

美しい音色と瑞々しい演奏が鮮烈な印象を残す、実力派アーティストの共演

イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)&アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)
デュオ・リサイタル

音楽堂ヴィルトゥオーゾ・シリーズ 11

  • 日時 2014/6/27(金) 19:00 開演 (18:30 開場)
  • 会場 ホール
  • KAme
    先行
    2014/1/14(火)
  • 一般発売 2014/1/18(土)
  • お問い
    合わせ
    神奈川県立音楽堂業務課 045-263-2567(9:00~17:00 月曜休館)

いまもっとも注目すべき音楽家~イザベルとメルニコフに期待<当日券あり>

 10年の時を経て、イザベル・ファウストが神奈川県立音楽堂に帰ってくる。それまで何度か来日はしていたものの、ピアノとのリサイタルとしてはその時が初であり、楽曲への厳しい対峙とみずみずしく芳醇な美音に彩られた鮮やかな演奏は、今でも強烈に脳裏に刻まれている。

 以来、イザベルは何度か日本の土を踏み、聴くものに感銘を与えてきた。ここ2、3年聴く機会がなかったが、2013年10月チェコ・フィルのソリストとしてベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」を共演、さらに彩の国さいたま芸術劇場においてバッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ」全曲を演奏、真摯でなお正統的な解釈はそのままに、紡ぎ出される音楽のスケールの大きさ、堂々たる佇まいには驚きを禁じ得なかった。

以前のような強烈なアタックはやや影を潜め、柔和で余韻嫋々たる響きが却って深々とした音楽的感興を表出する。取り分けベートーヴェンの協奏曲は圧巻だった。ベートーヴェンは後年、クレメンティの依頼で「ヴァイオリン協奏曲 Op.61」をそのままピアノ用に編曲している。原曲では第1楽章カデンツァを書かなかったため、ヨアヒムやクライスラーのものが用いられるのが一般だが、編曲したピアノ協奏曲には自らカデンツァを置いた。このカデンツァにはテンパニも加えられていて、イザベルはそれをヴァイオリンに置き換えながら見事な感興を織り上げたのである。自らの閃きと創意工夫を実践し、オーソドックスながら決して伝統には縛られない先進性と潔さ、ひたすら作品の核心に迫るイザベルの著しい進境が窺える。

一方、ピアノのアレクサンドル・メルニコフの存在感も重厚だ。説得力とインスピレーションに満ちたアプローチ、斬新ながらあるべき様式観を逸脱しないアナリーゼ、また闊達な指の運動能力やペダリングの巧みさによって一音一音が際立ち、滋味溢れる抒情を残しながらも空間に溶け込んでいく響きの清冽さはメルニコフの独壇場だ。

 今回のプログラムはモーツァルトに加え、ドイツ・ロマンの傑作たち。イザベルとメルニコフは、そのいずれにも類稀な生命を与え、圧倒的かつ神韻縹渺たる情感を湧き起らせるに違いない。

真嶋雄大(音楽評論)

イザベル・ファウスト(ヴァイオリン) アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)モーツァルト: ヴァイオリン・ソナタ 第29番 イ長調 K.305 シューベルト: 幻想曲 ハ長調 作品159 D934 シューマン: 3つのロマンス 作品94 ブラームス: ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 作品108 (曲目・曲順は、やむを得ず変更になる場合があります。予めご了承ください。)■イザベル・ファウスト(ヴァイオリン) イザベル・ファウストは、近年ヨーロッパで活躍の目覚しい音楽家の1人で、その並外れたテクニックと洗練された音楽性で、聴衆および専門家の間でも非常に高い評価を獲得している。 クリストフ・ポッペンとデネス・ジグモンディの両氏に師事。1987年アウグスブルクの「レオポルド・モーツァルト・コンクール」、1993年「パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクール」に優勝し、一躍世界的に注目される。 最近では2012年にアバド指揮ルツェルン祝祭管、ベルリン・フィルと共演したほか、これまでに、ロンドン・フィル、ミュンヘン・フィル、バーミンガム市響、パリ管、ボストン響、バイエルン放響、ベルリン放響、シュトゥットガルト放響、ケルン放響、ライプツィヒ放響、ハンブルク・フィル、チェコ・フィル、BBC響、マーラー室内管、ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン、シュトゥットガルト室内管、カメラータ・アカデミア・ザルツブルク、ミュンヘン室内管、NHK響、都響、新日本フィル、日本センチュリー響などと共演。指揮者ではメニューイン、ヤンソンス、ブリュッヘン、ギーレン、ベルティーニ、ホリガー、ビエロフラーヴェク、ハーディング、ヤノフスキ、オラモ、ベルグルント、スダーン、アントニーニなどと共演し、芸術的価値の高い関係を築いている。 特筆すべきは、古楽器からモダンまであらゆるスタイルと様々な時代のレパートリーを網羅していることである。古楽器演奏では、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲をデイヴィッド・スターン指揮で古楽器アンサンブル「コンチェルト・ケルン」と共演する一方、フェルドマン、リゲティ、メシアンなどによる前衛的作品も見事に弾きこなす腕前を持っている。2001年、ヤノフスキ指揮ミュンヘン・フィルとエックのヴァイオリン協奏曲を、2004年にはマルコ・レトニア指揮ミュンヘン響とジョリヴェのヴァイオリン協奏曲のドイツ初演を、さらに、ヴィットマンやラース・グラウゴーの作品の世界初演も行った。2009年には、トーマス・ラッヒャーとミシェル・ジャレルの新作を初演した。 室内楽演奏家としても、数々の音楽祭に定期的に出演し、フローラン・ボファード、ラルス・フォークト、アンドレアス・シュタイナー、アレクサンドル・メルニコフ、クリスチャン・テツラフ、ジョゼフ・シルバースタイン、ブルーノ・ジュランナ、トーマス・リーブル、タベア・ツィンマーマン、ボリス・ペルガメンシコフ、スティーヴン・イッサーリス、クレメンス・ハーゲンなどと共演している。 CDはハルモニア・ムンディより、バッハ:無伴奏ソナタ&パルティータ、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ)、ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(ハーディング指揮マーラー室内管)など多数リリース。ベルク&ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲(アバド指揮モーツァルト管)ではグラモフォン賞、ディアパソン・ドール賞、エコー・クラシック賞、レコードアカデミー賞を受賞。 使用楽器は、ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」(1704年製)。 ■アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ) 1973年モスクワ生まれ。16歳の時、シューマン国際コンクール、エリザベート・コンクール、エネスコ国際コンクールと矢継ぎ早に上位入賞を果たす。モスクワ音楽院では名教授レフ・ナウモフ教授に師事。1992年ドイツのシュレスヴィッヒ・ホルシュタイン音楽祭に伝説の巨匠リヒテルの代役として演奏したメルニコフは、満場の聴衆からの熱狂的な拍手を贈られた。それはまた、モスクワ生まれの若きピアニストがリヒテルの後継者として認められた瞬間であった。 リヒテルにその才能を認められたメルニコフは、巨匠を中心とした周囲の優れた音楽家、ロストロポーヴィチ、バシュメット、グットマン、ヴィルサラーゼ等との共演を通して直接影響を受けながら、独自の音、色彩を完成させた。また、メルニコフと芸術面で非常に密接な関係にあったリヒテルは彼をロシアのタルーサ音楽祭に、彼の室内楽をフランスのツールに招待している。 ゲルギエフ指揮/ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、プレトニョフ指揮/ロシア・ナショナル管弦楽団、デュトワ指揮/ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を含め、フィラデルフィア管弦楽団、サンクトペテルブルグ交響楽団、ロイヤル・コンセルへボウ管弦楽団、ウィーン室内管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団、BBC交響楽団、バーミンガム市交響楽団、マルメ交響楽団、ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団、マレーシア管弦楽団との共演、また日本でのリサイタルツアー等で好評を得ている。 メルニコフは、ウィグモア・ホール、ウィーン・コンツェルトハウス、シャトレ劇場、コンセルトヘボウを含む世界の有名なホールでリサイタルを開くと同時に、クラウディオ・アバド音楽祭やシュレスヴィッヒ・ホルシュタイン、ヴェルビエ音楽祭にも出演している。 室内楽もメルニコフの重要なレパートリーの一つである。ワディム・レーピンとの確固たる関係を始め、ユーリー・バシュメット&モスクワ・ソロイスツ、ナタリー・グットマン、ヴィクトル・トレチャコフ、ボロディン四重奏団、イザベル・ファウスト、また二台のピアノ作品をアンドレアス・シュタイアー、ボリス・ベレゾフスキー、アレクセイ・リュビーモフと演奏している。メルニコフは、2000年から2002年まで「BBC次世代音楽家」としてBBCラジオにリサイタルや室内楽で数多く出演した他、BBC交響楽団と共演、録音を行っている。 彼はまた歴史的なフォルテ・ピアノも演奏し、古楽器集団コンチェルト・ケルンと定期的にコラボレーションをしている。また、フィリップ・ヘーレヴェッヘとのオランダ・ツアーにソリストとして参加した。 メルニコフは、アムステルダムのムジークヘボウの2013/14シーズンのアーティスト・イン・レジデンスである。今シーズンは、アントニ・ヴィット指揮ワルシャワ・フィル共演によるBBCプロムスの初出演で始まり、その後イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルのシーズン開幕公演での演奏が続く。そのほかの今シーズンの共演者は、マーラー室内管、フライブルク・バロックオーケストラ、アムステルダム・シンフォニエッタ、シアトル響、ユタ響、ニュージーランド響などが含まれる。ソロでは、メゾン・シンフォニーク・ド・モントリオール、ロンドンのウィグモア・ホール、アントワープのDe Singel、モーツァルテウム・ザルツブルク、日本のコンサート・ホールでの演奏が予定されている。

チケット

当日券
イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフ デュオ・リサイタル 
当日券は、一般券と学生券のみ、午後6時より会場入口にて販売いたします。
チケット発売日

KAme先行(かながわメンバーズWEB先行販売): 2014/1/14(火) ~

かながわメンバーズ入会はこちら

一般:2014/1/18(土)

チケット料金
一般6,000円  シルバー(65歳以上)5,500円  学生(24歳以下)3,000円 (シルバーは売り切れました。) *シルバー、学生券は、チケットかながわのみで取り扱います。枚数に限りがあります。 *未就学児童の入場はお断りいたします。 (一般券は、チケットぴあ http://pia.jp/ (Pコード214-488)、イープラス http://eplus.jp/ でも取り扱います。)
主催 神奈川県立音楽堂

  • ご支援のお願いウェブサイトへ
  • チケットかながわウェブサイトへ
  • 神奈川芸術プレス WEB版ウェブサイトへ
  • 共生共創事業ウェブサイトへ
  • マグネット・カルチャーウェブサイトへ